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底地辞典

借地権成立のための要件「建物所有目的」とは?

紛争の経緯

X:土地の借主(借地権者)
Y:土地の貸主(所有権者)
昭和33年にXがYから自動車学校用地として土地を賃借し、本契約につき公正証書を作成しました。賃貸借契約期間は、昭和33年4月17日からの20年間となっていました。そもそも当該土地をXが賃借した当時は、ゴミ捨て場となっていました。そこをXの負担において土地を造成し、自動車学校の校舎、事務所などとして使用するための建物を建築し、その他の土地を自動車運転の実地練習のための教習コースとして整備しました。(建物が建築されている面積は全体の約4.5%)このような事実関係のもと、Yが契約期間の満了に基づいて、土地の明渡を求めたという経緯です。

判決と考察

 土地の賃貸借契約締結当時から、建物の所有を目的としていることが明らかであり、自動車運転学校には建物所有の必要性が高いということから、Yの明渡請求を退けました。建築建物が借地面積の一部であるからといっても、建物の所有を目的とすることが明らかであれば、借地法(借地借家法)の適用を受ける借地権たる地位を確保するという判断です。以下、判決主文の一部です。
 「右事実関係のもとにおいては、契約当事者は単に自動車運転教習コースのみならず、自動車学校経営に必要な建物所有をも主たる目的として本件賃貸借契約を締結したことが明らかであり、かつ、自動車学校の運営上、運転技術の実地練習のための教習コースとして相当規模の土地が必要であると同時に、交通法規等を教習するための校舎、事務室等の建物が不可欠であり、その両者が一体となってはじめて自動車学校経営の目的を達しうるのであるから、自動車学校経営のための本件賃貸借は借地法一条にいわゆる建物の所有を目的とするものにあたり、本件土地全体について借地法の適用があるとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。」  しかしながら、バッティングセンターやゴルフ練習場等の当初から建物(事務所等)の建築が予想されるような場合において、事務所等の所有が従たる目的に過ぎない等の理由で、当該土地の賃貸借は「建物の所有を目的とする」土地の賃貸借ではないという判決が下されたものもあります。(最高裁判決昭和49年10月25 土地明渡請求 昭和49(オ)第370号)また、幼稚園に隣接する土地を、運動場用地として賃借した場合において「建物の所有を目的とする」賃貸借ではないという判例も出ています。(最高裁判決平成四年 平成四(オ)第1876号 7年6月29判決 権不存在確認等請求反訴事件 )当該判決は、経営的観点においては運動場敷地は必要不可欠であるが、園舎(建物)の所有のために敷地が賃借されているわけではないという判断に基づいています。個々の事情に照らし合わせると、賃貸借対象地それ自体に主として建物を所有があるかどうかを判断する必要があり、一概にどういった状況が「建物の所有を目的とする」賃貸借かを判断することは難しいようです。